I'm a HERO Program
(2018年3月31日~9月30日実施)

楽器を持てば、ヒーローになる。

ヤマハは、音楽を演奏する楽しさを知った子どもたちが、大きなチャレンジを経て、
子どもたち自らの力で「見えない壁」に立ち向かうヒーローとなる「I’m a HERO Program」を、
コロンビア共和国において2018年3月31日から9月30日に渡って実施しました。

社会課題を音楽の力で解決する

世界には、格差や貧困、そしてそこから生まれる差別意識や偏見といった、いわゆる「見えない壁」によって、子どもたちの未来を狭めてしまっている現実があります。こうした社会課題に対して、中南米では音楽の力で立ち向かう活動が進められており、中南米の青少年オーケストラ・バンド活動がそのひとつです。
発端となったのは、ベネズエラから始まった「エル・システマ」とよばれる政府が推進する音楽教育プロジェクトです。非行防止・貧困撲滅の為に国策として行われており、子どもたちの音楽活動のみならず、将来の働き口も確保することで社会全体の安定化を図るシステムです。ヤマハもこれに賛同し、楽器メンテナンス方法の普及や、修理技術者育成を通じて協力を続けてきました。
また、コロンビアでも、メデジン市を拠点とする「Red de Escuelas de Música de Medellín」やボゴタ市の「Fundación Nacional Batuta」など、青少年オーケストラ・バンド団体が発足しています。さらには中南米におけるヤマハの主要パートナーによる財団「Fundación Incolmotos Yamaha」が運営する「ToKANDO」という奨学プログラムが生まれています。

 

同時に新たな課題も見えてきました。中でも大きな問題は、楽器メンテナンスの必要性や方法が認識されておらず、壊れた楽器を修理出来る人が周りにいない団体が多いということでした。そこでヤマハは2014年から「AMIGO Project」を開始し、現地の人々が自分の力で楽器をメンテナンスできるようにワークショップの開催や、壊れた楽器を修理出来る技術者の育成を推進してきました。また、より根本的な解決をするために、現地の課題に応える壊れにくくメンテナンスもしやすい、新しい管楽器「Venova」を開発しました。

楽器とともに、憧れのサッカー選手とフィールドに

「I'm a HERO Program」はこれまでのヤマハの取り組みの先に、子どもたちがヒーローとなる機会をつくったプログラムです。
舞台にはヤマハがこうした活動を行ってきたコロンビアを選び、「Red de Escuelas de Música de Medellín」と「ToKANDO」に参加している子どもたちから選抜された7歳~13歳までの26名を対象に、憧れの舞台であるサッカースタジアムでVenovaを演奏する機会を提供しました。
子どもたちは、これまでリコーダー以外の管楽器演奏経験は無く、今回の舞台にむけてそれぞれの指導者のもとで、Venovaの演奏修得に約6ヶ月間かけて取り組みました。その後、現地時間2018年9月30日(日)に開催されたコロンビア国内一部リーグである「カテゴリア・プリメーラA」の一節に出場する同国のサッカークラブ「アトレティコ・ナシオナル」の選手とともにフィールドに立ち、同国の青少年バンド「Banda Sinfónica de Copacabana」の子どもたちによる伴奏とともに、大観衆の前で国歌演奏を披露しました。

 

自分の力で、大きな舞台に立ち、演奏をし、喝采を浴びる。その経験は、子どもたちにとって、自分の力を信じて未来を切り拓く力になると信じています。
そして、国歌を演奏する子どもたちの姿が「見えない壁」を打ち破る象徴になり、それを目にした人たちにも、勇気や自信が広がっていったことを願っています。

AMIGO Projectやスクールプロジェクトなど、ヤマハは現在も継続して「音楽の力」で青少年の育成を支援しています。